石油製品と違いシリコーンは非常に歴史の浅い合成ゴムですが、近年では限りある石油資源に替わり、様々な用途、場面で使われつつある素材です。原材料はガラスと同じケイ素で地球上ではとても多い物質のひとつです。しかしシリコーンの技術は「石油製品に比べて50年は遅れをとっている」とも言われており、未だに改良が進んでいる状態です。
この製品に使用しているシリコーンはドイツ製で医療用にも使われている付加型シリコーン・エラストマーです。主に人体の欠損部分の補填に使用されております。従来の錫(スズ)を触媒にしたものではなく、白金(プラチナ)を触媒としたもので人体にも影響が少ないタイプのものですので安心して手で触れて、その柔らかい感触をお楽しみいただけます。
人形の素材として、このシリコーンを選んだのは、繋ぎ目がない「シームレス」であるというアドバンテージだけではなく、とても柔軟性のある柔らかい材質である点も挙げられます。これまでのゴム素材も柔らかくはあるのですが、シリコーンに比べればまだまだ硬いものであり、その張力は内骨格だけではとても支えられません。
非常にデリケートな素材です。
しかし石油系合成ゴムにくらべると、まだ引っ張り強度の点では弱く、限界を超えると裂けやすい性質があります。またカッターナイフや針など尖ったモノなどに強く触れると、そこから裂けてしまう可能性も高くなります。もちろん少々のポージングの変化を付けるだけで簡単に裂けてしまうことはありませんし、無理な姿勢を長期間に渡り取らせなければ変型、崩壊などの心配もありません。一時期のシリコーンでは可塑剤(柔らかくするための添加物)が時間の経過とともに抜けていき、勝手に崩壊するという事態もありましたが、現行のものはそれを克服したものです。
静電気を帯びやすい性質があります。
シリコーンは非常に帯電しやすいという特性があります。特に冬場にセーターを着て触れると静電気がおこる事があります。また静電気はゴミやウィッグの毛などを引き寄せます。この場合は放電させる意味でも、水でやさしく洗浄することをお勧めします。細かなホコリなどはボディソープでやさしく洗い流して下さい。洗浄は放電も兼ねます。
タック(ベト付き)があります。
シリコーンに限らず、可塑剤を添加した樹脂はたいていの場合タック(ベト付き)があります。弊社のシリコンは義手・義足などでも利用されるドイツ製の最高級シリコンですので、通常ドールなどに用いられる他メーカーのシリコンに比べると圧倒的にタックは少ないのですが、それでもやはり素材の特性上多少のタックはあります。これは付属のパウダー(炭酸カルシウム)をブラシで塗布すると抑える事ができます。タックによってすでに付着してしまったゴミなどは、やはりボディソープなどでやさしく洗浄し、完全に乾燥してからパウダーを付けましょう。
塗料、接着剤、化粧品等、ほとんど受け付けません。
シリコーン・ドールは基本的に塗装を加えたり、メイクを施したりといったことは困難です。接着剤やラッカー系の塗料であれば硬化後に簡単に剥がれてしまいます。また油性インクや化粧品などノリが悪くはじいてしまいます。リペアキットに付属のプライマーを塗布した面に一液性のシーラントを塗り接着、塗装(シーラント自体に塗料を混合)が唯一の方法です。
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